バカに進化した人類

脳神経外科医からリハビリテーション科医に転科して脳研究者を目指す医者のブログです。

医学部入試における再受験と編入の比較

 このブログの「はじめに」で、「受験」というカテゴリーでブログを書くことを宣言しました。そこで医学部入試に関するブログの第一弾は、そもそも「どの入試制度を利用するか」について書くことにします。この二者で迷っている人は、是非参考にしてください。

 もちろん、どちらの入試が自分にあっているかは、各自の能力とバックグラウンドによるでしょう。では、自分にはどちらが合っているかはどうしたらわかるのでしょうか。

 僕も四年半くらい前に、どちらを選択するかで多いに悩みました。最終的には再受験に照準を当てたうえで、編入試験との併願という戦略で受験をしました。編入に受かれば一番よいですが、可能性としてはあまり高くないので本命は再受験といった方針です。そして、結果は編入試験に不合格で再受験で合格。編入には落ちたものの、受験は一回で済ましているので、自分に合った方法を選択できたのではないかと思っています。

 僕がどうしてそのような戦略を採用したか。その過程を述べたいと思いますので、よかったら読んでみてください。

 

 結論からいうと、再受験に向いている人は、医学部でありさえすれば日本全国どこの大学でもよく、受験学力に自信がある人。行きたい大学が少数にしぼられていて、研究や社会人としての経歴および学歴に自信がある人は編入ということになるでしょう。

 入試は主に「筆記試験」と「面接」にわけられるので、それぞれの特徴を考えてみましょう。

筆記試験

再受験

 言うまでもなく、内容は普通の大学受験です。医学部は他の理系難関大学と同様、数学が重要な科目になってきます。数学や理科が得意、もしくは他の科目の足を引っぱらない程度にできれば合格可能でしょう。

 また、一度大学受験を経験している人であれば、自分の学力が医学部に合格できる水準まで到達するかどうかはある程度想像できます。このように合格可能性を予測しやすいという点は再受験の利点の一つでしょう。編入試験は内容が独特なので自分がどこまで高得点を取れるかを予測しにくいのです。

 勉強のしやすさという点でも再受験の方が勝ります。大学受験は一大産業であるため、予備校も複数あります。さらに大手予備校をはじめ、様々な出版社が参考書や問題集を出版しているので、予備校に通わなくても充実した勉強が可能です。ちなみに僕は、予備校には通わずに、家で市販の参考書と問題集を用いて勉強しました。

 そして大事なことは、大学受験では高校三年間での学習内容からしか出題されません。また、大学によって傾向が多少異なるかもしれませんが、内容のバラツキは編入に比べればかなり小さいです。ということは、偏差値さえ上げてしまえば、日本全国どの大学でも合格可能ということです。これは選択肢が多いという意味で重要でしょう。

編入

 こちらは大学によって科目数も異なれば範囲もバラバラです。理系科目は大学の範囲まで拡張されるので、どこまでが範囲なのか分かりづらいのが欠点です

 大学受験とは異なり、専用の教材も市販はされておらず、KALSのような予備校でしか手に入らないため、効率良く勉強するのが難しい。ただし、数学が必要ない大学がいくつかあるため、文系学部出身者で数学を避けたい人は再受験よりも編入がよいかもしれません。

 また、編入は試験日程が重なっていないので、多くの大学を併願できる点がメリットだという人がいますが、ある程度類似した試験内容の大学しか併願できないため、実質そこまで多くはないでしょう。受験するだけの、当たればラッキーといった併願でよければいくらでも可能ですが、それなりに合格を見込んだ併願となれば数は限られます。なぜなら、受験の併願はできても、試験内容が異なりすぎて勉強の併願ができないからです。結局、少数の大学にしぼらなければならないと思います。

面接

再受験

 再受験であれば現役生や浪人生より若干点を引かれるかもしれませんが、それを挽回できないレベルでは編入は尚更難しいのではないかと思います。面接の難易度は編入の方がはるかに上でしょう。もし自信がないのなら、赤本を見て面接の配点が低い大学を選ぶといいと思います。

 そして最大の問題は、ネットでも話題になっていますが、再受験差別はどの程度あるのかということでしょう。しかし、これは大学によっても異なるし、同じ大学でもその年の入試の方針によって変わるものです。入試の方針というのは必ずしも毎年同じというわけではないのです。つまり、どこの大学が危なくて、どこの大学なら安全といったことは受験して自分が結果をもらうまで正確なところはわかりません。自分も入学するまでわからなかったし、僕の大学は再受験は優しいという話と厳しいという話の両方がありましたが、実際合格してみるとクラスには再受験は複数いました。

 また、ネットの評判では再受験はかなり難しいと言われているS大学に通っていた高校時代の友人に聞いてみると、そのような大学でも再受験がいるといいます。

 というわけで、こればっかりは予測することが難しいです。あまりネット上の情報に踊らされないようにしたいところです。

編入

 再受験よりはるかに難易度が高いと思われます。大学によっても内容は異なるし、編入でどのような受験生をとるかといった人間像も大学によって異なることが考えられます。ちなみに、僕が受けたT大学では面接時間は15分程度で、内容も志望動機などの簡単なもののみでした。

 

  これらのことを考えた結果が、冒頭で述べた結論です。僕が思うには、編入よりも再受験の方が勉強はずっとやりやすいでしょう。なにしろ大学受験をもう一回やればいいだけなのですから。

 そう考えると、編入にしぼった方がいい人という状況は、よほど自分にぴったりの入試を課している大学を見つけた人や、仕事等の関係で編入しか受けられない人以外は少ないのではないかと思います。

 ちなみに、僕がT大学の編入試験を併願した理由は、T大学の筆記試験の内容はかなり大学入試に近い形式の問題だったからです。普通、大学受験と編入では内容が異なるため、両方勉強するのは大変が、T大学だけは、大学入試の勉強で8割カバーできるような内容だったところに目をつけて受験しました。

 

 以上が僕の個人的な考えですが、異なる意見もあるでしょうし、僕が受験勉強していたのは四年前なので状況が変わっているかもしれません。とはいっても参考程度にはなるのではないかと思って書いてみまいした。いかがだったでしょうか。

 次は大学受験において、具体的にどのような勉強をしてきたかを書いてみたいと思います。普通の大学受験の話なので再受験の人だけではなく現役生や浪人生にとっても参考になればいいと思っています。