3秒で心電図を読む本
初期研修前に何か勉強しておこうと思い、大学の図書館サービスを利用してネットで読みました。ネットで読めるのは便利だけれど、やはり読みやすさという点では勉強は紙の本がいいなと実感しましたね。
時間もあるし、読みっぱなしだとすぐ忘れるのでメモのために少し内容を書いておきます。自分のためのメモに近いので適当ですが。
心電図に限らず臨床における基本的な考え方が書いてあり勉強になりました。
心電図に関しては、時代にあった心電図の読み方をするのが大切だということですが、とくに記憶に残っているのがこの2点。
・利便性という心電図の強みを活かす読み方
・心電図にあまり多くを求めすぎない
利便性が強みである心電図の読解に長い時間を費やしていては本末転倒であるということ、得られる情報量としては冠動脈CTや核医学検査などのほうが圧倒的に多く、心電図から大量の情報を得ようとしないことが大切だそう。
そのような姿勢で心電図を読むことが効率的に心電図を読むことになり、また、それが時代にあった読み方になるようだ。
このような基本的な考え方のもと、心電図を読む場合の3ステップとして、
患者の血行動態を類推する(第Ⅱ誘導で調律をみる。正常洞調律か不整脈か)
患者のポンプ機能を類推する(QRS波をみる。正常でなければエコー)
患者の症状の原因を推し量る
があげられており、その後具体的な説明がされている。
心電図の勉強をすると、学校では軸が何度だ、P波が何ミリだ、などと手順を学ばされ、いやになった経験があるが、上記のポイントにしぼって心電図を読むことで、さほど重要でないものは切り捨て、効率よく心電図が読めるらしい。
見るべきポイントを絞るというのは心電図を学び始める初学者にとって、とっつきやすくなるというメリットもありそうだ。
この本では、心電図の利用目的が明確だ。目的が明確になれば、行動も明確になる。そのため心電図から得る情報も上記の3つに絞ってある。心電図をすみからすみまで眺めて、できるだけ多くの情報を得ようとする、というのは初心者にありがちなミスなのかもしれない。
これはどんなことにも言えそうだ。問診、診察、検査は全て患者から情報を引き出すためにやるわけであるが、情報を得るのは、ただ患者情報をたくさん入手することが目的ではなく、どのような治療をするかを決めるために患者情報を得るわけである。
行動を決めるために情報を得る、すなわち検査をするわけであって、情報をたくさん入手するために検査するわけではない。
本書では「心電図を読むときは、『異常Q波』という存在を忘れ去ろう!邪魔になるから」と言っています。異常Q波は定義が煩雑すぎるようだ。
つづいて「心電図を見る目的は、『異常Q波』を探すことではなく心電図を見て医療行為を決定することなのですから。」
「医療のアウトプットが正しければよい」
「一つ一つの仕事に目的意識を持たなければ、概して仕事の効率は上がらず、徒労に終りやすいのは心電図の世界だけではありません」
「医療行為の決定」、アウトプットと言ってもよいかもしれないが、心電図に限らず重要であると感じた。
国試直後の暇な時間に読んでおくのに最適な本だったように思う。